鳥達の言葉を求めて 動物言語学者 鈴木俊貴博士。
NHKBS「ワイルドライフ」を見ていての流れだったかと思う。
画面の中で、シジュウカラの動きを説明している男性がいた。
軽井沢の森の中で、説明しながら、
「今回の研究は楽しかった~!」
と、言う言葉がすんなりと耳に入ってきた。
観ている私でさえ、この鈴木博士の説明通りに、蛇とシジュウカラの攻防には
手に汗握る生死を掛けた時間だったので、画面に惹き付けられたままだった。
未だ巣立ちを迎えるには少し早い時期に、巣箱が蛇に襲われてようとしていた。
そこへ、親鳥が危険を感じて巣箱の雛たちに、
「ジャ~、ジャ~!」とい鳴き声を掛ける。
すると雛の一匹が未熟ではあるが飛び立つ、ただ木の根元に落ちてしまうが・・。
二匹目も飛び立つ、同じように根元に落ちてしまった。
二匹共けがはなかったようだ。
残った雛はまだ二匹巣箱の中だ。
蛇はスルスルと巣箱の中に入って、結局残った二匹は蛇に飲み込まれてしまった。
ここで、何故雛鳥は巣箱から顔を出し飛び立つ行動に出たか?
「ジャ~、ジャ~!」
はシジュウカラの世界で蛇という意味を持っているからだそうだ。
蛇を実際に会ったことのない雛たちは蛇=危険、と教わっていたのだろう。
このシジュウカラの鳴き声に意味をあると発見したのが鈴木博士なのだ。
映像を観ていて感動した!
時間をかけて、シジュウカラの鳴き声の種類の多さに注目して行動と鳴き声の
意味を観察し続けた研究の結果を軽井沢の森の中で検証していたものだった。
何故、私はこの映像で感動するのか?
それは、論文を書く研究者の、観察風景にこちらもワクワクしたからだ。
観察、研究とはこういうことなんだろうと観ていて嬉しく、羨ましく、その論文
の内容を知りたい!と思う程だった。
「全国のどこにでも棲息している、とても身近な小鳥のシジュウカラ。
そのシジュウカラの鳴き声が、実は言葉として使い分けられており、
文を作ることもできると実証した研究者が鈴木俊貴さんだ。
そんな驚きの研究成果をものにし、大きな注目を浴びている鈴木さんが、
軽井沢の森の中で語る、鳥たちへの飽くなき探究心に触れてみたい。」
が記事の紹介文です。
詳しくは上記記事を読んで頂きたい。
一部引用します。以下引用。
森に巣箱を設置し、
鳥を調査する日々
「あ、ほら。ヒガラが鳴いてます」
鈴木俊貴さんはいきなり立ち止まり、森の上の方を指差して、こう話し出した。
「ヒガラというのはシジュウカラと同じ鳥の仲間ですが、いま『ビービービー』と聞こえましたよね。あれはヒガラのヒナの鳴き声で、親鳥に『ごはんちょうだい』と鳴いているんです」
ここは長野県・軽井沢の森の中。
鈴木さんは、森に棲息する小鳥シジュウカラやその仲間の鳥たちの調査を続けている研究者だ。
慣れた様子で森の深いところまで入っていく鈴木さんは、鳥の鳴き声に敏感に反応しつつ、調査のために設置した巣箱まで案内してくれた。
「この森に80個ぐらいの巣箱を設置して、おもにシジュウカラの調査と観察をしています。この時期(6月末)のシジュウカラは家族で暮らしています。
つがいのオスとメスがどういう言葉のやりとりをしているのか。
親鳥とヒナの間の会話はどうなっているのか。
鳴き声を集音マイクで収録して解析し、録音した鳴き声をシジュウカラに聞かせて、どういう風に行動を変化させるかなどの実験をしています」
鈴木さんがこの軽井沢の森でシジュウカラの研究を始めたのは、21歳のとき。
幼い頃からの動物好きが高じ、生物学を学ぶ大学生となった鈴木さんは、シジュウカラの鳴き声が他の鳥と比べ複雑だと気づいたことから研究の道が始まったという。
「小さいときからピアノを弾いていたこともあって、僕、ものすごく耳がいいんですよ。
みんなが聞き逃すような鳥の鳴き声もちゃんと聞き取ることができるんです。
大学2年のときにたまたま軽井沢にバードウォッチングに来て、シジュウカラがたくさんいることに感動したんです。
おまけに大学の山荘が1泊500円で泊まることができたので、1か月滞在しても1万5千円だぞと思い、そのまま半年ほどこの森で鳥の観察を続けたんです」
上記引用
今、コーシ家のボンがトンボの観察で論文を発表して、その後の世間の見方は
ネット上で知られている通りです。
そんな時に、NHKBSを見て、というか出会って、この方に興味を持った。
調べてみると、観察、調査する人とはこういう人なんだろうと納得するものだった。
ちょっとしたきっかけを元にどんどん興味を持ち、それと同時に自分の中で
気付くことを繋げていって、検証してみる、その通りだったと、次の観察が生まれる
と、そんな経緯だったのだろう。
そして、深く深く知ることが人に認められる水準にまで達するのだ。
そして、こう書かれている。
「人間以外の動物にも言葉があり、しかも文法まで持っていると実証されたのはシジュウカラが世界初だ。鈴木さんの研究は科学誌「Nature Communications」の論文などで発表され大きな反響を呼び、日本のメディアでも広く伝えられ、鈴木さんは時の人になりつつある。」
本人の知識など無関係に学歴を得るための論文、それも受賞に引っかかるかどうかも
分からないもの。
そんなものからは興味も感動も感じることは無く、観察したい、知りたいという気持ちさえ伝わらず、胡散臭さだけが漂う。
こういう本物の”知りたい”に出会うと、私もシジュウカラや名も知らぬ小鳥の声に
聴き入ってしまったりする。
嬉しくなるのです。
そうそう、シジュウカラだけでなく、ゴジュウカラの言葉(鳴き方)もあって、全く一緒じゃないけれど、お互いに知らせ合う鳴き方があるとか。
そしてシジュウカラとゴジュウカラが交流するようになりつつあるとか。
夢は膨らみますよね!
種族の違う動物がお互いに意志を伝えられるようになるかも?
その中の人間だってそこの一部になれたらと想像しただけで嬉しくなります。
「鈴木さんは大学の卒業研究でもシジュウカラをテーマとし、そのまま大学院に進み博士号を取得。日本学術振興会の特別研究員、東京大学教養学部の助教などを経て、現在は京都大学白眉センターの特定助教を務めつつ、1年のうち6〜8か月は軽井沢の森の中で過ごす生活だという。」
賞だとか研究者に対する待遇だとかの結果は当然ついてきます。
恥を知らない学者の名を借りた忖度論文との違いがはっきりと分かります。