意外な息子の優しさ。
初詣でのこと。
ここ数日はお正月で気付いたことを書かせて頂いている。
家族と会うといっても、最近は正月の、年に一回とか、不幸なことがあってどうしてもと
言う時くらいしか機会がない。
あるいはどうしても伝えることができた時とかで、普段はお互いに
「便りの無いのはいい便り。」
位の感覚でいる。
だから、一緒に初詣に行くなんてことは年に一回の珍しいことなのだ。
ここ数年、夫は転倒して骨折したり、他にも血管系の手術をしたりと入退院が続き、少々昔の元気はなくなり歩行速度も落ちてきた。
近くにいる私は成るべく甘やかさないように、手を貸さないように、今まで通り生活を心がけている。
そんな中での初詣だった。
他の息子は車を出し、駐車場探しで混み合う神社周辺で同行の者を降ろし、特に父親の歩行速度を考慮し、適当な場所に停めたりしていた。
そんな中で、一番反抗期が顕著で長かった息子が付かず離れず父親に付き添っているのだ。
(写真はお借りしました。映画の1シーンかな?)
丁度、リハビリ病院での担当のスタッフさんのようだった。
手をかざす訳でもなく、前を歩く訳でもなく、そっと一歩後ろに付き添って歩いていた。
ずっと父親に付き添っていたのだ。
私はひとコマずつ写真に収めていた。
「えっ?こんなに優しい子だった・・・?」
と、私の心の声。
実のところ、彼は何くれとなく、息子たちの若い力が必要になった時などは、一番力を貸してくれる大人になってくれているのだ。
社会的にも自分流のネットワークを持つ彼は頼りになる存在なのだ。
だからと言って何でもかんでも頼りにはしないが・・・。
彼等の得意なことは頼ることがあっても、彼等の不得意とするところで、私の方が得意なことは
引き受ける、そんな関係でいる。
しかし、彼らにとって、親父が自損事故等起こす度に、それなりの車を手配してくれていた。
「今度事故起こしたら、もうこれが最後だからな、気をつけて運転しろよ。」
と、釘をさしてサポートしていた。
運転免許証を返還してからは行動範囲が狭まることを心配して、シニアカー等の提供も考えるなど、それとなく親孝行?の機会を持とうとするようになった。
気持ちはすごく嬉しい。
ただ、親父はまだ要らないと断ったが。
そんな男たちなのだ。
神社のお札などを買った後、
「親父に甘酒でも飲ませてやるから、ここで待ってて。」
と言うので、
「私のは?」
と、言うと笑って、買ってきてくれた。
温かい・・・。
夫は静かに美味しそうに飲んでいた。
その間も、自分は好きじゃないからと、父親の傍で待っていた。
「ふ~ん、こんなに優しかったんだ。いや優しくなったのかな~。」
と、外気は冷たいのに、暖かい気持ちになっていた。
そして、弟が車を用意するまで参道を歩いて行くからと、また、夫に付き添っていた。
では、私は何をしていたか?
と言うと、縁起物を買ったり、参道にしかないお店で買い物したりと、動き回っていたのだ。
一緒に外出するこんな時は、待っている場所を決めて、彼はゆっくり、私はテキパキとするべきことをするというやり方なのだ。
一緒に暮らすとはそういうことで、リハビリ病院のスタッフさんのようにはいかないのだ。
けれど、今回は何か、
「あったか~い風景が見れた。」
ような気持ちで、夫に、
「優しい息子(になって)でよかったね。」
と、(心の中で)呟いていた。