台風の爪痕、断水に振り回される市民。
台風15号は発生してすぐに上陸して一晩猛威を振るって、徐々に明るみになり
出てくる被害はどんどん大きくなっている。
静岡市清水区の水道の取水口に流れてきた倒木、流木がからまっているのが原因の断水。
もう、市民は狂騒状態の中にいる。
浸水、断水は同時に起こっていたわけで、当時者である清水区の市民は今回の顛末は予想外
だったと思う。
特に清水区は平成の大合併で静岡市に含まれることになった経緯があるので、水道局の取水口
などは元の清水市であった当時の施設、設備が使われている。
静岡市の3区の内、葵区、駿河区が元々の静岡市の設備で供給されていて、清水区は元々清水市の
設備からの供給になっているので、インフラが全く違うのだ。
だから65万戸が断水と言っても殆どが清水区住民が被害にあっているのだ。
毎日、台風15号の被害、断水関係のニュースで見る映像は日増しに明らかになっている。
浸水した家財道具が道路に廃棄され、まだ断水の時は泥も流せない有様だったようだ。
そういう中で住民はどうしていたか。
とに角、清水区と他2区では断水の境界線がはっきりしている。
だから清水区の住人は水、風呂、洗濯の三苦の処理の為に元静岡市の親戚や知り合い
の家に通ったり、温泉施設を利用したりで、癒しの温泉施設は駐車場が満車で渋滞、
入れば入ったで”芋の子を洗う”状態と聞いた。
温泉施設に近い住民は付近の車の往来の多さに驚いたと話し、清水区から親戚や友人の
家に行こうとする人は、給水車に集まる住人、その水を家に運び車から降ろす作業中の車
で脇道も渋滞となると話す。
夜間の方がそういう渋滞が激しいと聞く。
ただ、そういう作業も車のある人、身体が動く人に限られているだろう。
車も殆ど浸水して動かなくなっているし、レンタカーで動いていると聞く。
そして、高齢者は20ℓのポリタンクなど運べない。
その上、浸水、断水が起こった直後はホームセンターなどでポリタンク、45ℓ用のゴミ袋
も品切れ状態になったようだ。
2022/09/24(土)の未明からの浸水、断水の時点ではまだまだ暑かった。
家、家財道具が泥まみれの状態で住民は疲れ、本当にただただお風呂に入りたかった
のだろうと思う。
親戚、知人宅のお風呂を目指した人達は、清水区外から逃れることができたが、
コンビニの商品は品薄になり、コインランドリーも清水区内では使えずなので
如何に清水区内が狂騒状態になっていたか想像がつく。
こんな事態の時、清水区でも会社が井戸水を使っていたのでその水がどれだけ
社員を助けたか、会社で取り敢えず水でも身体を拭くことはできたと話してくれた人
もいた。
清水区外から被災者に水を届けた人が大勢いて、ニュースでも、温かい援助が
起こっていると被災者の家に積まれていたダンボール箱入りの水が映し出されていた。
私の知り合いも友人宅に水を差し入れしてきたとほっとしながらも”疲れた”と呟いた。
県知事と市長の手際の悪さで自衛隊への出動要請が遅れた経緯もあるが、
移動手段の車を奪われ、家には住めない状態、住めても断水なのだ。
本当に、一分でも早く水道設備の復旧を望んだ住民達なのだ。
徐々に水道局からの給水範囲も広がって、全ての地区で10月5日を目途に完全復旧すると
聞いている。
ただ、断水の陰であまり報道されないが、停電も同時にあった地区は清水区と限らなかった
そうで、葵区の市役所に近い繁華街でも、結局臨時休業を強いられたデパートや商店も
あったそうで、後になっていろいろと伝わってきて驚くことばかりだ。
清水区の住民は勿論生活に困難を来しているが、近隣の関わりを持つ人達も他人事では
なく、助け合っているのだ。
台風による断水被害ももう一週間が経ち、大分生活用水が使える地域、飲料用にも使える給水
も始まった地域が徐々に増えていて、全域の住民に水が行き渡るのももう少しの頑張りだ。
と、言いつつも、その”もう少し”が耐えられない苦しみであるだろうけれど、先は見えてきている。
まだまだ被災の後かたずけや使用不可になった給湯器やエアコンの室外機などもあるだろうと
想像すると、その爪痕は深い物がある。
ただ、清水区役所は罹災証明書を素早く発行しているとのことで、それだけでも被災者に
とっては朗報となっている。
またボランティアの人達も来てくれているようで、被災者には嬉しい”神の手”に見えることだろう。
被災者、関係者の皆さんが一日も早く元の生活に戻れるようにと願うばかりです。