観察されている。
猫の散歩が終わると、家の掃除が始まる。
猫はお気に入りの場所、ソファーの背もたれの上で高見の見物をする格好になる。
元々、掃除機は嫌いなのだ。
だから成るべく遠くにいたいのだろう。
或いは、お天気のいい日は、二階のベランダの陽当たりのいい所でのんびりとしている。
ベランダに行かないで私のお掃除の手順をじっと見ていて、早くホットカーペットに寝ころび
たいな、なんて思っている時(多分)はソファーの上だ。
掃除がまだ、ソファーの辺りしか終わっていないが、彼の落ち着きたいスペースが済んだと
判断すると、降りてくるか彼専用の椅子の上に移って陣取る。
毎日の習慣を見ていると、もうその場所には掃除機が帰ってくることは無い、と解るのだろう。
私も、いたずら半分にフェイントをかけて、突然戻るなんてことはしないから、もうその場所
は、例え残りのスペースの掃除機掛けをやっていても、そこは落ち着ける場所だと判断するようだ。
そして暖かい、のんびりとした時間が始まる。
猫は猫側から私を観察しているようで、私も私で掃除機掛けの途中でもどこまでやったら
彼が移動を始めるのか観察していた。
そして私の落ち着く頃合いも観察されているようで、
「ねえ、ねえ、終わったら、ソファーに座ってよ~。背中トントンして欲しいんだからさ~。」
と催促するのだ。
私のルーチン作業は彼にはしっかりと記憶されていて起床時から就寝時まで全て観察されているようだ。
だから、私も成るべく習慣化したものは変えずに彼の安定した生活を守ってあげたい。
彼がゆったりと落ち着いているのを見ると私も幸せを感じさせてもらえる。
一緒にいてくれてありがとう。