猫から、「それ、どけて!」
掃除が終わったあとのこと。
猫は掃除中は、ソファーの背当て部分に陣取ってちょっと上から目線で様子をみている。
私も、いつもの様子に安心して掃除機をかける。
「さてと、次はと・・・。」
と、自分の用事を片付けようとしていた。
しばらくして猫は、
「やっと終わったか・・・。」
と、でも言うように、水を飲みに行ったり、餌の残りを食べたりして戻ってきた。
すると、
「う~~ん。」
という啼き方をした。
猫専用の椅子の前で、掃除中にそこに避難させていたバランスボールを見つめていた。
私は、はっと気づいて、
「あっ、ごめんごめん、これじゃ椅子に乘れないよね!」
と、すぐにバランスボールを撤去して元の位置にもどした。
猫は、
「そうだよ、わかりゃあいいんだよ。」
とでも言うように、早速専用椅子に乘って座り込んだ。
私は、こうして自分の意志を伝えてくれるこの猫が大好きだ。
普段は何も言わないが、
「餌が気に入ったからお代わり頂戴」、とか、
「ベランダに出たいんだけど、出口開いてる?」とか、
「お水飲みたいんだけど、洗面所が占領されていて行けないよ~!」とか、
必ず大きな声で意志を伝えようとする。
そのだいたいのことは私に伝わる。
勿論私は彼の要望が理解できるし、彼も、きっと、そういうことを発信すれば理解してもらえると、信頼してくれているのだと思う。
もっと、はっきりした要望は、朝の散歩が終わって、私がソファーに座らない時は、
「早くこっちに来て座ってよ!」
と、ソファーの端まで来て啼いて呼ぶ。
そして身体のブラッシングが始まるのを待っている。
お互いの諸々のルーティーンを理解していて言葉で伝えるより解り合える。
だから、この猫が居なくなることは考えられない。
ずっと、ずっと長生きしてもらわないと困るのだ。