三つの桜はすべて開花した。
2019/09/27の新聞のコラム欄より
万葉集で山上憶良が詠んだ「秋の七草」は萩から始まる。字面の通り、秋を代表する花樹の一つである。万葉集で最も多く登場する植物が萩で、次は梅。新元号は観梅の宴で歌が詠まれた事情を説明する文章を典拠とした
▼萩から連想するのは、花札の絵柄のイノシシか。たおやかな萩と荒々しいイノシシの取り合わせを川柳は〈猪の 寝耳に水は 萩の露〉とたのしむ(福井栄一「イノシシは転ばない」)。いずれも古来、身近な存在である
▼最近は食害や豚コレラで厄介扱いされているイノシシだが、「傷つかない、害されない」戦いの神、摩利支天[まりしてん]の使いとされる。戦国武将はかぶとの中に摩利支天の小像を入れて出陣したと伝えられる
▼万葉集の登場順で桜は8位にとどまるが、令和元年は秋にも桜が存在感を発揮している。ラグビー日本代表のジャージーの左胸エンブレム。代表が初めて結成された1930年、エンブレムの桜は、進化への誓いを込めてつぼみ、半開き、満開だった。52年、三つの桜はすべて開花した
▼日本代表「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」は世界ランキング9位。あすのワールドカップ(W杯)第2戦、エコパスタジアム(袋井市)で2位のアイルランドにぶつかる。会場案内などのボランティアも、いよいよ本番だ
▼記紀には、秋に咲く桜の記述がある。諸説あるが、エドヒガンや富士山麓に自生するマメザクラ系列のジュウガツザクラ(十月桜)ではないかとされる(小川和佑「桜の文学史」)。あす、エコパを、ファンゾーンを、桜満開に。
この記事を読んだ時、
「ああ、明日はアイルランド戦だ。どううなるんだろう。勝てるかな~。」
と、思っていた。
そして、前日、
NHKスペシャル「日本代表 『奇跡』 の先へ」(午後7時半~8時15分)を観た。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20190927
世間で言う、”にわかラグビーファン”を自認する私だから、少しでもラグビーと日本代表のことを知りたいと思った。
監督とリーチ・マイケル選手くらいしか知らなかったが、31人と控えに回る他の選手のことも
知ることができた。
五郎丸歩選手からバトンタッチした田村優選手が特に印象に残った。
リーチ・マイケル選手不在の時の変化に頼もしさを感じたのだ。
そして、”サモア戦”との練習試合?に勝ったから歌を歌おうと”、ビクトリーロード”を歌って、最後に手締めをして、画面に、「行け!」と流れた。
翌日(試合当日)私はジムを早く切り上げてTVの前で観戦した。
夫は”ファンゾーン”に出掛けるように勧めたら行ったようだった。
ルールはよく解らないけれど、ボールを持って前へ前へと行くということだけはわかった。
ルール説明は、試合中に画面の下方に表示されていた。
それでも、PK毎に点が加算されていく中で、
「ん?この時間帯にこの点、ひょっとしたら勝てる?」
と、ド素人の私でさえドキドキし始めて、ノーサイド間際にあのトライ。
エコパスタジアムが歓声で揺れていた、選手が抱き合い喜び合っていた!
私は、独りで、拍手を続けた!
その後の報道は誰もが知る通りだ。
選手達の誰もが言い放っていた。笑顔で。
「奇跡ではなく、必然です!」と。
「NHKスペシャル「日本代表 『奇跡』 の先へ」で予習していたので、その言葉に納得していた。
日本代表「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」ありがとう!