それって当たり前?

日々感じたことを徒然に。

NHKスペシャル「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」

2018/12/24 NHKBS1で放送された番組の再放送を観た。

 

概要:

世界自然遺産・知床にあるヒグマの密集地帯。ここに野生のヒグマを叱って追い払う84歳の老漁師がいる。この現場に密着して3年。ヒグマとの共存の秘密に迫った。

 

世界のヒグマの研究者たちが“奇跡の場所”と言う秘境がある。2005年に世界自然遺産に登録された知床半島の先端にあるルシャと呼ばれる地域。

 

世界自然遺産・知床の海で、サケやマスをとってきた漁師の大瀬初三郎(おおせ・はつさぶろう)さん84歳。ヒグマが近づいてくると「こら!来るな!」と大声で叱りつける。すると、ヒグマは静かに去って行く。この半世紀、襲われてケガをしたことは一度もない。去年、ユネスコの委託を受けた調査団が知床を訪問。漁で使ってきた道路や橋を撤去するよう求めてきた。途方に暮れた大瀬さん。そのとき、不思議なことが起きた…。

 

以上引用

 

 

調査団と川を挟んで向こう岸にヒグマが現れ、調査団の一人の博士は身構えた。

しかし、ヒグマは何もせず、向こう岸を歩いているだけで、襲ってくることもなかった。

 

大瀬さんたちの日々に密着し、人は自然とどう向き合えばよいのか考える。

 

やってきた調査団と大瀬さんは話をする。

大瀬さんは今のままで何の問題もないと伝え、アメリカの博士は動物とは一定の距離を保っているべきだとアメリカ方式に拘った。

 

その後の結果には当時触れられていなかった。

 

 


獲物が少なくなると、ヒグマはみるみる内にやせ細っていって、連れていた子熊は栄養失調で命を落とした。

そんな時でも、大瀬さんは絶対に餌を与えない。

しかし、ある時死んだイルカ(だったと思う)が岸辺に打ち上げられた。

 

波の高い中、大瀬さんがロープを持って近づき、イルカを岩に縛り固定した。

すると、ヒグマが数頭やってきて死んだイルカを食べ始めた。

 

その様子を見て彼は、

「ほれ、腹一杯食ったよ。ハハハ。」

と嬉しそうに笑った。

 

「それくらいしかしてやれることはねえ。」

と、笑顔でその場を振り返っていた。

 

この記事を書こうと思ったのはそのシーンに感動したからだ。

厳しい中の優しさ、ここで生きる者同士だから。

 

ヒグマも老漁師もお互いのことが解っている、と思った。

思い遣って、お互いに生き延びようとしていることが・・・・。

 

その後、川をせき止めてあったのを止めたら、鮭が遡上できて結果ヒグマの餌は獲れるようになった。

その様子を彼は見届けて、

「ほれ、また獲れた。身体もあんなに太って、もう大丈夫だ。ハハハ」

と満足そうに笑っていた。

 

アメリカの自然保護公園の動物たちとの距離に比べたら、驚く程近いのがこのルシャの地域なのだろう。

しかし、それで、ヒグマと漁師たちの生活は成り立っているのだ。

 

老漁師のヒグマを見つめる優しい目と笑顔に自信が溢れているように私には見えた。