ご夫婦の奥様は私の中学生の時の同級生でいまだに交友がある。
ご主人がチェロ、奥様がピアノの演奏者である。
何かとコンサートや生徒さん達の発表の場などに誘われて、自分自身では縁のない音楽の世界に浸る機会がある。
私は彼等とは本当に門外漢なので気楽に楽しませて頂いている。
たまに、コンサート終了後の楽屋を覗く機会があったりして、彼等とは違う楽器の演奏者などにもお会いして、舞台裏の慌ただしさも見る機会があったりする。
また”発表会の打ち上げ”などという場面に立ち会って、華やかさの中にも演奏終了後の安堵感の中にいるまだ学生だったりする演奏者たちの素に戻った様子を拝見出来たりする。
もう一度言うが、私は全くの門外漢なのです。
何の楽器も演奏できないし、クラッシック以外の音楽を聴くことの方が多い。
何故か彼女とは馬が合うのか、気を遣わなくていいのか、私は誘われれば興味が先だって、その会場に行ってみるようにしている。
そんな関係の二人です。
その演奏家夫婦がCDを収録して、私に下さった。
都心を中心に演奏活動をしていた二人だったが、2年程前に彼女の実家がある、私の住まう市に拠点を移して活動をしている。
彼女の自宅は、実家をピアノ練習スタジオ中心に建て直してあるので時々伺って次元の違いを味わわせてもらったりしていた。
そんな二人が収録したCDを頂いた。
そのCDを最近は車で移動中に聴いている。(^^♪
耳を澄ますと、曲の始まる時の息の合わせ方、終盤の音にも、お互いの演奏があっての二人の調和という様子を門外漢ながら聴き取ることができる。😅
長い結婚生活をお互い演奏家として認め合い、敬いつつ過ごしてきてのこんなに息のあった演奏ができるんだと思うと、何て素敵な夫婦なんだろうと羨ましささえ感じた。
普段の二人は、
私を「○○ちゃん」と呼び、
コンサートの時も舞台を下りている時は普通の夫婦なのだ。
ご主人は料理も好きで、彼女よりも作る頻度は高いと聞く。
私からすれば何と羨ましい!と言う関係である。
多分、普通の家庭のようなステレオタイプの夫と妻の関係では無いのだろう。
基本はピアニストとチェリストであって、家事雑事は二人の後ろに平等にあるのだろう。
長年家事育児は妻、夫は外で働くという形態の我が家とは結婚の設定段階から違うのだろう。
彼等は演奏を続ける限りお互いに自立した演奏家であり、指導者である。
そして、お互いを引き立てるパートナーの演奏家同士でもある。
曲を聴いていてひたすら羨ましいと思った。
お互いが音楽家としてその価値が解る者同士なのだ。
CD制作はお互いでなくてはならないのだ。
チェロから始まる曲、激しいピアノの音から始まる曲等々聴きながら、
「ああ、彼女は素晴らしいパートナーとこの音を出す為に出会えたんだ。」
と、演奏家にとって最高の人生なんだろうと確信した。
我が家はお互いにただの同居人。
目立つのは悪い所ばかりだ。
何かを一緒にやり遂げようなんて、これっぽっちもない。
しかし、彼等はお互いが奏でる音に耳を傾け、その上に自分の音を、最高の音を重ねて、演奏しているのだ。
お互いの存在を高く認めあっている音を奏でている。♪(^^♪
年齢を重ねれば重ねる程深みが増す音が出るのだろう。
そしてそれがお互いを高めていくのだろう。
私はチェロの音が好きだ。
低い落ち着いた音が好きだ。
そこに、普段はシャイで中々人前で弾きたがらないピアノの音が重なる。
CDジャケットには二人が並んでチェロと寄り添い立っている。
我が家は二人で並んで、
「これが私達の人生」
なんて顔して並ぶなんて到底考えられない。(;'∀')
彼等の、この重なる音がCDに詰まっている。
素敵な人生だな~、と各々の曲を聴きながら、つくづく羨ましいと思う。🤔