母の形見の修理。
最近の異常気象の中の夏は暑くて、
アクセサリーなど着けたいとか思わなくなっている。
実際に、世の中のファッションは何でもありなのだし、カジュアル化している。
ネックレスなど付けて出掛ける機会などほぼ無い。
それでも、ちょっとした食事会などの時は首元にもお洒落などしてみよう
なんてこともある。
これでもない、こっちでもない、色合いが合わないなどと楽しみながら選ぶ時もある。
夏になった頃、何か涼し気にしたいなと思って、そう言えばと、
母の形見のネックレスを出してみた。
一応水晶というものらしい。
今時、こんなもの流行らないよな~、と思いつつ取り敢えず付けてみた。
実際に付けてみると、留め金具が緩くて落ちそうな具合ということを発見。
修理が必要のようだと判断した。
母の時代とは違うので多分着けることもないだろうな、と思いつつ
では、このままにしておいたら100%使うことはないということになると判断。
一応「母の形見」なんだから、どんな展開になっても稼働できる状態に
しておいた方が「生きた形見」になるんだろう、と考え直した。
そこで、宝石店に勤める友人に相談してみた。
そのお店で買ったものではないから、そしてそんなに高価なものでもないよう
なので取り扱ってもらえるかどうかわからないくらいの気持ちだった。
(推測するに、父が水晶の生産が盛んな地方に旅行した時母に土産物として
買ってきたものではないかと。)
その結果、そのお店は”工芸所”も持っていて、お客様の品物の点検・修理なども
してくれるとのこと。
ネックレスの糸替えと粒を磨いて、金具の交換もしてくれるとの返事だった。
丁度他にも点検・修理をお願いしたいピアスなどもあったので
一緒にお願いをした。
それから数週間後、一粒一粒が奇麗に磨かれて、糸も新しく替えられて
金具も取り換えられて返ってきた。
修理費用は6千円と少し。(ケースを見ると定価18,000円となっている)
使わないかもしれない物への出費は高いか安いか分らない。
しかし、100%稼働できないのならゴミ。
それに6千円何某をお札で持っていても只のお札。
それを修理費に変えれば”生きた形見”として使うことも可能なのだ。
だから私は修理を選んだ。
亡き母が、綺麗に蘇った水晶のネックレスを見て喜んでいるように感じる。
「お母さん、これ大切にするね。
もしかしたらお父さんの気持ちも籠ったものかもしれないものね。
お父さん、よくお土産買ってきてくれたよね。(〃艸〃)ムフッ」