そもそも、自分の腕時計がソーラーエネルギーで動いているという意識はなかった。
購入時には説明されている筈で、どちらかと言えば、
「電池交換もしなくていいし、楽ちん楽ちん。」
と、その後の管理については、非常に楽観的に考えていたと思う。
しかし、ある時、時計が進まなくなってしまった。
(厳密に言うと、暫く使ってなかったので箱に収めて保管していた。無知。)
「あ~あ、電池切れみたい。電池交換に行かなきゃ。」
と、またすぐに復活するものとして、購入店に持って行った。
店内で、待ち時間に、展示されている世界中の高級時計なんかを、覗き込んだりして溜息
なんかついていると、修理担当者から声がかかる。
「お客様、これはソーラー時計ですね。電池交換は必要ないんです。
その代わり、真夏の昼間位の太陽光を2時間位充てる必要があります。云云かんぬん・・・。」
と、説明されてしまった。
「ん?ソーラー時計?だったの?」
購入時にきっと説明受けて、了解して買った筈なのに、そんな記憶どこかにど~んと飛んでいた。
「え~~~~!そうだったの~~~!?」
結局、すごすごと恥ずかしさとその時計を抱えて帰ってベランダのテーブルで日光浴させたりした。
しかし、置きっぱなしにして忘れてしまいそうで、中々充電できないでいて、しまい込まないように、
ぬいぐるみの熊さんの腕にはめて窓際には置いているが、いまだに熊さんのアクセサリー然としている。
そして、この問題が再びの事件が起こったのだ。
たまたま、友人と、私の友人に頼まれた時計・宝石の展示会に行った。
その友人が、
「時計の電池交換するつもりで来たから、お願いしてくるね。」
と言ったので、私の恥ずかしい経験を話すことにした。
「もしかして、ソーラー時計かもね~?」
なんて冗談を言っていた。
暫くして友人が私の元に戻ってきて、
「これ、ソーラー時計ですって~!あなたが言っていたのと同じことを説明された~!」
と、苦笑いしながら時計を抱えていた。
店員の方はまたもや詳細な説明を繰り返している。
友人は、
「あなたが言っていたのと同じことだね。」
と、これからの充電の仕方を聴いていた。
と、なるとソーラー時計って、楽ちん楽ちんどころか、結構充電には気を配らなければならない時計なのだ。
何か、こうなると、昔からの発条(ぜんまい)式の時計が一番管理し易そうと思ってしまった。
「只ほど怖いものはない」、とか、「楽あれば苦あり」、なんて諺が頭の中を漂って行った。