母が亡くなって3回忌が済んだ。
よく親に言われた言葉ってありますか?と聞かれたりすることがある?かな。
今は、情報量が多くて親の言葉など、思い出している暇もないのが現状かもしれない。
でも、自分が子供の頃の、親とのシーンが蘇って来るときがあるんです。
何故か、そのシーンは何回も繰り返される。
私が思い出すのは、
「寝る程楽を三つ欲しい」
と、母が朝起きて着替えをする時に呟いていたような言葉。
私が幼稚園児位の時、母の着物の帯をキュッ、キュッ、と結ぶ音で目覚めた。
母の背中の後ろに桐のタンスがあって、その前で、着物を着ていたんだと思う。
冬だから着物だったのか、夏は「簡単服」とか言うワンピースを着ていて、子供の分も手作りだった。
家族は二世帯と言えば分かり易いが、当時は夫の家族=両親、弟や妹など、がいる家に嫁として入る、形態。
当時はどこの家も当たり前だった筈だ。
だから、朝がきたら同居家族の朝ごはん作りから始めるのが最初の仕事だったのだろう。
当時は何の疑問も持たずに食事をしていたが、7人家族での食卓風景だった。
朝昼晩と家族の食事作りに追われる日々だったからだろうか、自分に言い聞かすように呟いていた言葉。
「寝る程楽を三つ欲しい」は口癖のようになっていた。
母の時代の女性たちは皆、嫁として家族になっていくのが当たり前だっただろうが、できない人がいても
不思議ではないが、そんな素振りをみせていた大人はいなかったように見えていた。
嫁入りした、女性って凄いことをやってのけていたということなんだ。
現代の女性にそんなことを求めたら、すぐ逃げ出すか、先ず結婚しない。
何故か、母が嫁いだ歳を遥か超えた今、母の心境を思うようになった。